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クリスタル

 宝石の内「クリスタル」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

クリスタルの組成

クリスタルの外観写真
  • 分類:酸化鉱物
  • 組成:SiO2
  • 結晶系:三方晶系(低温型)/六方晶系(高温型)
  • 色:無色
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:7
  • 比重:2.65
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クリスタルの特徴

 クリスタル(和名は玻璃-はり)は、二酸化ケイ素 (SiO2) が結晶してでできた鉱物であるクォーツ(quartz/石英せきえい)の中でも、特に無色透明なものを指します。
 クォーツは長石(feldspar)に次ぎ、地球上で二番目に豊富な鉱物で、花崗岩などの火成岩に多く含まれます。石英を成分とする砂が「珪砂」(けいしゃ/けいさ)、また石英を主体とした珪化物(けいかぶつ)からなる鉱石が「珪石」(けいせき)です。
 日本でもかつて良質なクリスタル(水晶)を多く産出していたため、日本の国石に指定されています。石言葉は「完璧・冷静沈着・神秘的」で、4月の誕生石です。

クリスタルの歴史

 クリスタルは「ロッククリスタル」(rock crystal)や「ピュアクリスタル」(pure crystal)とも呼ばれ、古くから様々なものに加工されてきました。
ロタールクリスタル(Lothair Crystal)  古代ローマの博物学者大プリニウス(AD1世紀頃)は、クリスタルは水が永久に固まったものであると信じていたようです。この誤解は、クリスタルが火山の近くでは発見されず、アルプスなど氷河の近くでのみ発見されること、および、ほてった手を冷やすため、もっぱら球形に加工されることなどが原因となっています。
 宝飾品としては「ロタールクリスタル」(Lothair Crystal)が有名です。これは、ヨーロッパ北西部で、855~869頃に作成されたクリスタルの加工品で、 聖書に登場する場面が掘り込まれています。
 17世紀になるとニコラス・ステーノ(Nicolas Steno)がクリスタルに関する研究を行い、結果としてこれが今日の結晶学(crystallography)の基礎となりました。1930年代に入り、チャールズ・B・ソーヤー(Charles B. Sawyer)がアメリカ・オハイオ州でクリスタルの人工製造に成功し、商業化しました。この発明によってクォーツの工業利用が増えることになります。

クリスタルの語源

 「クォーツ」(quartz)の名は、ドイツ語の「quarz」に由来しています。この語はそもそもスラブ語で「硬い」を意味する「twarc」から派生したようです。また、「クリスタル」(crystal)の名は古代ギリシア語で「氷塊」を意味する「krustallos」に由来しています。
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クリスタルの種類

 クォーツには構成成分が同じで結晶構造の異なる鉱物、すなわち「同質異像」(どうしついぞう)鉱物がたくさんあります。具体的には以下。
クォーツとその同質異像
  • トリジマイト  「トリジマイト」(tridymite/鱗珪りんけい石)は、二酸化珪素を豊富に含む火山岩などの高温化で生成される。
  • クリストバライト  「クリストバライト」(cristobalite/方ケイ石)は、「トリジマイト」同様、二酸化珪素を豊富に含む火山岩などの高温化で生成される。
  • コーサイト  「コーサイト」(coesite)は変成岩や、隕石の衝突地点などの、通常の地殻が持つ圧力よりも高圧環境下で生成される。
  • スチショバイト  「スチショバイト」(stishovite/スチショフ石)は、「コーサイト」よりもさらに高圧化で生成されるもので、隕石衝突現場でよく発見される。
  • ルシャテリエライト  「ルシャテリエライト」(lechatelierite)は石英を含む砂丘などに雷が落ちることで生成される非晶質のクォーツ。
 一方、クリスタル(水晶)に不純物が混じり色のついたものを 「色つき水晶」(紫水晶=アメシスト/黄水晶=シトリンなど/紅水晶=ローズクォーツ)といい、またインクルージョン(内包物または包有物)を含んだり、結晶の形が変わって見えるものを「変わり水晶」といいます。 詳細はクリスタルの種類をご参照下さい。
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クリスタルの動画

 以下でご紹介するのは、ルチルという鉱物の針状結晶を含んだクォーツクリスタルの映像です。見る角度を変えると光がルチルに反射してキラキラと輝いて見えます。
元動画は⇒こちら
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