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指輪・リングのすべて

 指輪(リング)の歴史・リングサイズ・種類などについて解説します。

指輪とは?

 「指輪」(ゆびわ/ring)とは指にはめる円形の装身具のことです。
 英語でただ単に「リング」という場合は、アームリングやネックリングではなく、指にはめるいわゆる「指輪」を指します。
 男性でも女性でも身につけることができる普遍的(ふへんてき)なアクセサリーで、クオリティも様々です。材料としては金属、プラスチック、木、ある種の骨、ガラス、そして宝石などがあります。また「ストーン」(stone)と呼ばれる貴石、または半貴石を上部に装着していることもあります。
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指輪のサイズ

 指輪のサイズ(リングサイズ)は、国によって表記方法がバラバラです。
 日本においては「1.2.3.4.・・・・」という表記方法がとられていましたが(旧表記)、1998年にISOに準拠したJIS規格(S4700) が制定され、2002年頃から「41.42.43.・・・」という表記方法が普及してきています(新表記)。
 海外で買い物をする際、各国のリングサイズの目安が必要となりますので、併せて載せておきます。なお、リングサイズは紐や糸を第二関節に巻きつけて自分で計測することも出来ますが、体調、気温、湿度、天気、計測時間などによって指の太さが微妙に変化しますので、思うほど容易ではありません。1000~2000円程度で正確に測る器具も売られています。
指輪のサイズ・主要各国一覧表
指輪の直径と内径の意味、および主要各国における指輪のサイズ表記一覧表
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形状別の指輪の種類

 以下は、形状別に指輪(リング)を分類したときの一覧です。
指輪の種類(形状分類)
  • フラットバンド フラットバンド(flat band)とは、平らな帯状の金属をループにして接合したシンプルな指輪
  • ソリティアリング ソリティアリング(solitaire ring)とは、大きめなセンターストーンを1つだけもつ指輪
  • エタニティリング エタニティリング(eternity ring)とは、小さな宝石が指輪の外周を取り囲みながら一周するデザインの指輪
  • トリニティリング トリニティリング(trinity ring)とは、3つの指輪が組み合わさった指輪
  • テンションリング テンションリング(tension ring)とは、宝石が爪やベゼルによって固定されているのではなく、金属の圧力によって固定されているデザインの指輪
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目的別の指輪の種類

 以下は、目的別に指輪(リング)を分類したときの一覧です。
指輪の種類(使途分類)
  • アキクリング アキクリング(aqiq ring)とは、特にシーア派のイスラム教徒が身に着けるカーネリアン、もしくはアゲートで飾られたリングのこと。ムハンマドと12人のイマーム(シーア派指導者)を模しているという。
  • ウェディングリング ウェディングリング(wedding ring)とは、着用者が結婚していることを示す指輪で、日本語での通称は「結婚指輪」。当初は妻だけが身に着けていたが、20世紀に入り、男女とも着用するようになった。
  • ウォッチリング ウォッチリング(watch ring)とは、時計のはめ込まれた指輪。アナログ時計のものもデジタル時計のものもある。
  • エタニティリング エタニティリング(eternity ring)とは、結婚した夫婦の重要な記念日などに、主として夫から妻へ贈られる指輪。永遠の愛を象徴するかのように、同じ形にカットされた宝石(ほとんどの場合はダイヤモンド)が、バンド(金属の環)をぐるっと一周するようにはめ込まれている。実際指にはめると宝石が邪魔になるため、片面だけに宝石が敷き詰められたものもある。
  • エンゲージメントリング エンゲージメントリング(engagement ring)とは、婚約指輪のこと。北米やカナダにおいては結婚の予定がある女性のみが身に付けるもので、宝石は主としてダイヤモンドがあしらわれる。他の国においては女性限定と言うわけではなく、男女がペアリングという形で身につけることもある。
  • クラダーリング クラダーリング(claddagh ring)とは、心臓を抱く2つの手のデザインで有名なリング。アイルランドでは永遠の愛の印として配偶者に贈る。アイルランドの漁村・クラダー村で17世紀ごろに考案されたという。心臓は愛の深さ、手は友情、そしてクラウン部は忠誠心を表現しているとも。
  • クラスリング クラスリング(class ring)とは、同一クラスの生徒たちが、卒業を記念して身に着けるリング。主に北米やカナダにおける習慣。起源は1835年、ウエストポイントにあるアメリカ軍事アカデミーにおける風習とか。
  • シグネットリング シグネットリング(signet ring)とは、印章の役割を果たす指輪。金属に文字や図柄が掘り込まれたり、比較的加工しやすいアゲートサードニクスなどに掘り込まれたりした。
  • チャンピオンシップリング チャンピオンシップリング(championship ring)とは、大学、もしくはプロスポーツの分野で優勝を収めたチームや個人に贈られるリングのこと。日本ではなじみが薄いが、特に北米では一般的な風習。
  • ディナーリング ディナーリング(dinner ring)とは、大き目の貴石、もしくは半貴石がついた指輪。「カクテルリング」(cocktail ring)とも言う。1940年頃から登場し、主として女性が愛用する。
  • パズルリング パズルリング(puzzle ring)とは、知恵の輪のような指輪。4~12個の指輪から成り、いったん指からはずしてしまうと、元通りの形に復活させて着用するのが難しい。
  • ピンキーリング ピンキーリング(pinky ring)とは、小指に付ける指輪。ピンキー(pinky)は英語で「小指」のことであり、ピンク色とは何の関係も無い。男女を問わず着用されるが、主たる目的はファッション。ただし、カナダやアメリカのエンジニアが大学を卒業する間際に、儀式の一環として鉄の指輪を小指に付けることがある(アイアン・リングという)。
  • プリエンゲージメントリング プリエンゲージメントリング(pre-engagement ring)とは、婚約する前の男女間で交わされるリング。すなわちエンゲージリングの前の段階。浮気しないことの証として着用し、比較的安価なものが多い。通常はウェディングリングと同様左手の薬指に着用されるが、混同を避けるため、あえて左手の中指や、右手の薬指に着用する場合もある。
  • フレンドシップリング フレンドシップリング(friendship ring)とは、親しい友人間で交換する指輪。男同士、女同士、男女間など、恋愛感情抜きの関係にある者同士の間で着用される。
  • プロミスリング プロミスリング(promise ring)とは、自分がなした約束を決して忘れないため、もしくは必ず実現する覚悟を表明するためのリング。時にプリエンゲージメントリングと同義で用いられる。
  • ポイズンリング ポイズンリング(poison ring)とは、中に薬、もしくは毒薬を忍ばせた指輪。16世紀のヨーロッパで盛んになり、敵に毒を持ったり、捕虜になった際、自害するために用いた。
  • ポージーリング ポージーリング(posie ring)とは、指輪の外側に文字が刻み込まれたもの。まれに内側に刻まれていることも。簡単なフレーズや詩を刻印することで、愛の証とした。
  • マルチフィンガーリング マルチフィンガーリング(multi-finger ring)とは、2本以上の指に同時に着用する指輪。ヒップホップ愛好者がよく用いる。
  • ムードリング ムードリング(mood ring)とは、液体水晶などの感温素材を含み、体温の変化に合わせて色が変わる指輪。必ずしも着用者の気分(ムード)を示しているわけではない。
  • モーニングリング モーニングリング(mourning ring)とは、死者を弔うために身に着けるリング。モーニングは「morning」(朝)ではなく「mourning」(死者を悼む)の意。イギリス・ヴィクトリア女王時代に一般的となり、主として黒いジェットが用いられる。
  • リガーズリング リガーズリング(regards ring)とは、ヴィクトリア時代にイギリスで誕生した婚約指輪の一種。ルビー(Ruby)エメラルド(Emerald)ガーネット(Garnet)アメシスト(Amethyst)ルビー(Ruby)ダイヤモンド(Diamond)サファイア(Sapphire)の頭文字をとって「REGARDS ring」と名づけられた。1つの指輪にこれら7つの宝石がちりばめられている。
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結婚指輪はなぜ左手の薬指に?

 結婚していることの証として指輪を薬指にはめることは、世界中の多くの地域で共通の習慣ですが、 この習慣の起源を辿ることは容易ではありません。

なぜ左手の薬指?

 「なぜ左手の薬指か?」という問題には、「左手の薬指が心臓の血管に直接つながっている」という迷信が関わっていると考えられます。アウルス・ゲッリウス(紀元2世紀ごろに活躍した古代ローマの著作家、文法学者)はその著書「アッティカ夜話」(Noctes Atticae)の中で、アッピアノス(2世紀の古代ローマの歴史家。エジプトのアレクサンドリアに生まれたギリシャ人)の談話を引用していますが、その談話とは「古代エジプト人は、薬指と心臓とを結び付ける細い神経を発見した」というものです。このように、太古の昔から薬指には特殊な意味合いが与えられていたようです。
 なお西洋では17世紀頃から「Vena amoris」(ラテン語で「愛の血管」という意味)という言葉が現れ始めました。これは「左手の薬指と心臓とが密接に関わっている」ということを示す概念です。

なぜ婚姻の証になった?

 「婚約や結婚の証として指輪を身につけるのはなぜか?」という問題には、古代ローマ人の風習が関係しているようです。
 紀元前332年にエジプトを制圧したギリシア人達の間では、婚約の証として麻や革、骨や象牙で出来た指輪を身に着ける風習がありました。後に指輪の素材は鉄などに置き換わってゆきますが、「愛するものへの信頼の証として指輪を身につける」という風習は、すでにこの頃より存在していたようです。途切れの無い「円」というものを、太陽や月の神々の象徴とみなしていた古代エジプト人達の風習が、多少関係しているかもしれません。

現代の風習はなぜ生まれた?

 「なぜ婚約や結婚の証として、左手の薬指に指輪をはめるようになったのか?」という問題ですが、はっきりした答えは今の所ないようです。
 少なくとも17世紀頃のイギリスにおいては、結婚指輪を親指にしたり中指にしたり、はっきりとした定位置はなかったといいます。17世紀から現在に至るまでのおよそ300年間で、一体どのようにして「左手の薬指」と「結婚指輪」が合体してひとつの風習になったのかは分かりません。しかし一説では、売り上げを伸ばそうと躍起になっている宝石業界が、大昔の神話や迷信を題材にして、「結婚指輪は左手の薬指に!」という風聞を作り上げ、セールスを伸ばそうとした、という説があります。もしこの説が本当だとすると、「バレンタインデーには好きな人にチョコレートをあげましょう!」という、チョコレートメーカーによって意図的に作り上げられた習慣に通ずるものがありますね。
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