宝石に施される人工処理の種類
日本のJJA(社団法人 日本ジュエリー協会)及びAGL(宝石鑑別団体協議会)に加盟している鑑定機関においては、カット・研磨だけが施された自然に近い天然石のほか、何らかの人工処理が施された天然石も宝石として扱われます。
宝石に対して施される人工処理については以下で述べますが、かつてはエンハンスメント、及びトリートメントという用語で分類されていたため、便宜上これらの用語を使って列挙してみたいと思います。ちなみに現在はこうした区分はなく、処理方法に関わらず一律トリートメントという用語で表現されます。
宝石に対して施される人工処理については以下で述べますが、かつてはエンハンスメント、及びトリートメントという用語で分類されていたため、便宜上これらの用語を使って列挙してみたいと思います。ちなみに現在はこうした区分はなく、処理方法に関わらず一律トリートメントという用語で表現されます。
エンハンスメント
エンハンスメント(enhancement)とは、宝石が元々持っている潜在的な美しさを人工的に引き出す人工処理方法を指します。詳細は以下です。
エンハンスメント処理一覧
- 加熱処理
加熱処理(かねつしょり)とは、宝石を加熱することで、その宝石が本来備えている色を引き立たせる人工処理方法を指します。
代表的な加熱処理宝石はルビー・サファイア・タンザナイト・アクアマリン・トルマリン・トパーズ・アンバー・シトリン・ブラックオパール・パールなどです。 - 拡散加熱処理
拡散加熱処理(かくさんかねつしょり)とはるつぼに他の元素をいれ、人為的に宝石内に取り込ませる人工処理方法を指します。
代表的な拡散加熱処理宝石は、サファイア・ルビーなどです。 - 含浸処理
含浸処理(がんしんしょり)とは、ワックス・オイル・樹脂・着色液などを宝石にしみこませることで光沢や透明度、あるいは色を変化させる人工処理方法を指します。宝石を洗剤で洗ったり超音波洗浄機にかけることが禁止行為とされている場合は、その宝石に含浸処理が施されていると考えてよいでしょう。
代表的な含浸処理宝石はターコイズ(トルコ石)・ジェダイト(ヒスイ)・エメラルド・ルビーなどです。 - 充填処理
充填処理(じゅうてんしょり)とは、穴や傷があった場合、ガラスなどを用いて修復する人工処理方法を指します。
代表的な充填処理宝石はコーラル(珊瑚)やダイヤモンドです。 - 漂白処理
漂白処理(ひょうはくしょり)とは、宝石表面のしみや汚れを取り除く人工処理方法を指します。
代表的な漂白処理宝石はパール(真珠)です。
トリートメント
トリートメント(treatment)とは、化学的な操作で自然界ではありえない変化を宝石に及ぼす人工処理方法を指します。詳細は以下です。
トリートメント処理一覧
- 放射線照射処理
放射線照射処理(ほうしゃせんしょうしゃしょり)とは、宝石に人工的に放射線を照射することにより、内部の結晶構造を変化させて色合いを変える人工処理の事を指します。
代表的な放射線照射宝石はトパーズ・トルマリン・ダイヤモンド・パール(真珠)などです。 - 着色処理
着色処理(ちゃくしょくしょり)とは、色素によって人為的に宝石の色を変える人工処理を指します。
代表的な着色処理宝石はターコイズ(トルコ石)・ラピスラズリ・ジェダイト(ヒスイキセキ)・アゲット(メノウ)・コーラル(珊瑚)・パール(真珠)などです。 - コーティング処理
コーティング処理とは、宝石表面に他の物質(チタンなど)を蒸着させて色合いを調整する人工処理を指します。
代表的なコーティング処理宝石は、ジェダイト(ヒスイキセキ)・コーラル(珊瑚)・トパーズなどです。 - 高温高圧処理
高温高圧処理(こうおんこうあつしょり)とは、宝石を高温高圧下に置くことにより、人為的に色の変化を起こさせる人工処理方法を指します。
代表的な高温高圧処理宝石は、サファイア・ダイヤモンドです。